« 民族と人種は必ずしもリンクしない | トップページ | 流浪の旅 »

2011年7月24日 (日)

狩猟民族は残虐か?

学生時代、K教授の「日本思想史」を受講していたら、与太話でこんな話をしていた。
《ヨーロッパに行くと、肉屋には天井から肉の塊が吊してあって血がポタポタ垂れている。そういうのを見ると日本人は気持ち悪いと思うが、あいつらは旨そうだと思うらしい。農耕民族と狩猟民族の違いだな》


まあ文化人類学者ではないのだから専門家ではないにしても大学教授が言う言葉じゃないよね。
でも日本ではこの手のお手軽文化論を言いたがるインテリが少なからず居るので、きちんと批判しておこうと思う。


①ヨーロッパ人は狩猟民族ではない。牧畜文化もあるが、基本的にはヨーロッパ人も農耕民族。米を栽培するか麦を栽培するかが違うだけだ。
②全ての人類はかつて狩猟採集生活をしていた。その中から農耕生活や牧畜遊牧生活に移行する人たちが現れ、現代においては極く少数の民族を除いて狩猟民族と呼べる民族は存在しない。
③狩猟民族と言っても熱帯〜温帯の狩猟民族と極地の狩猟民族とでは生活形態に大きな違いがあった。熱帯〜温帯の場合は植物の採集が中心で、狩猟の獲物はたまのご馳走という感覚だった。けれども植物の生えない極地では狩猟の獲物に生活を全面的に依存せざるを得なかった。
④農耕民族は植物を相手にしているので性格が温和で、狩猟民族は動物を殺して生活しているので性格が猛々しいと思っている人は多い。しかし実際は逆だと言って良い。農耕民族にとって動物は自分たちの食糧である植物を荒らす敵であり、動物を虐殺することなど当然と考えて来た。しかし狩猟民族特に極地の狩猟民族の場合、動物の命によって自分たちの命が支えられて来たので、動物の数が減ってしまうことは自分たちの生存を危うくするという訳で、母子でいる動物は殺さないなど動物との共存を心がけて来た。動物の肉を食べるから残虐だなどというのは全く事実に反する思い込みに過ぎない。

|

« 民族と人種は必ずしもリンクしない | トップページ | 流浪の旅 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1201284/40937402

この記事へのトラックバック一覧です: 狩猟民族は残虐か?:

« 民族と人種は必ずしもリンクしない | トップページ | 流浪の旅 »